春日部さんへ

春日部さん、初めまして。この度は1周年記念企画にご参加下さってありがとうございます!とても熱い思いを送って頂き、本当に本当に嬉しいです!

「どうして贅沢な鱗なんだろう?選ばれなかったのかな?」と不思議に感じられたかと思います。
リクエストにお応えできなかった、というより、春日部さんの想いに応えるにはこの形が一番いいだろうとわたしなりに考えた結果です。短編ではなくて本当にごめんなさい……!

春日部さんの想いは今回の応募の中でも特に熱量が凄まじく、「熱い思いをぶつけて下さい!」と言ったわたしがびっくりするほどでした。託す相手がわたしなんかでいいのか、わたしなんかが応えられる思いなのかと本気で悩むくらい、まっすぐで純粋なものでした。伏黒君のことを幸せを願う春日部さんの想いが伝わってきて、こんなに愛されている伏黒君は幸せだろうなと思います。
春日部さんの大切な想いをわたしに託して下さって、本当に本当にありがとうございます。

生まれた時から誰かに運命を握られていて、いつだって誰かに揺さぶられていて、伏黒君の人生の真ん中には彼自身はいないんだろうなと思っています。きっと自らの幸せを幸せとして享受することさえ、彼は自分に赦してはいないんだろうな、とも。

そんな天命を背負った伏黒君の幸せについてお話を書くには、わたしの拙い筆力では短編に収めることは難しいかもしれないという結論に至りました。

「贅沢な鱗」は、多くの困難にぶつかって、葛藤してもがいて足掻いて、それでも自らが後悔しない選択をしていくという伏黒君の魅力を書き尽くしたくて書き始めたお話です。
だからこそ「贅沢な鱗」のヒロインには、伏黒君の抱える傷を真正面から抉る背景をたくさん持った女の子を選びました。伏黒君と同じように、運命に翻弄される天命を背負った女の子です。まるで鏡映しのような女の子です。

ふたりは鈍行列車に乗って、地獄のような困難が横たわる駅で何度も立ち止まります。幸せに溢れた終着駅に辿り着くために。業苦を味わう長い道のりの中で、ふたりが少しずつ惹かれ合って恋をする。「贅沢な鱗」はざっくり言うと、そういうお話です。

先日Twitterで「創作は作者にとって祈りである」というツイートを見ました。
「贅沢な鱗」はわたしの祈りです。伏黒君が恋をして、愛に満たされて幸せになってほしいという祈りです。生きるために大人になることを、津美紀さんのために大人になることを自らに強いてきた伏黒君が、虎杖君や野薔薇ちゃんや五条先生、そして夢主さんと接する毎日の中で、15歳の少年らしく騒がしく楽しく幸せに生きてほしいという祈りです。自らと似た境遇の女の子との恋を通して、自らに課したあらゆる枷を少しずつ解いていってほしいという祈りです。

だから春日部さんの祈りは、本当に畏れ多いのですが、「贅沢な鱗」というお話を通してわたしの祈りとともに昇華させて頂きたいなと思っています。

短編という形ではなくてごめんなさい。短編は過程ではなく感情を先に書いてしまうので、無意識に切ない話ばかり書いてしまう……というわたしの悪い癖もあって、伏黒君の幸せを考えるにはやっぱり長編がいいだろうと考えました。春日部さんの想いも踏まえた上で、「贅沢な鱗」で伏黒君の幸せをたっぷり書いていきます!

まとまりのない文章で本当にごめんなさい……!春日部さんの想いを受けて、「贅沢な鱗」での伏黒君のイメソンはKing Gnuさんの「Overflow」がピッタリだなと思ったので、そのつもりで「贅沢な鱗」をちょっとだけ加筆修正しています。お暇な時にでも読んで頂けたら嬉しいです。

またいつでも遊びに来てくださいね。1周年記念企画にご参加下さり、本当にありがとうございました~!